【7時間目の授業は心理です】

思春期~青年期の方をターゲットに心理学をお話ししていきます。

【#18発達について】発達障害ってなんだろう?

心の中で・・・「起立、礼、着席」

 

みなさん、お疲れ様です!心理カウンセラーのルンタです。

それでは今日も短時間で解説をはじめますよ~

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今回は「発達障害」について話をしていきたいと思います。

皆さんも、発達障害という言葉をよく耳にしていませんか?

ですが、実際のところ発達障害が何かをよくわかっていないまま、この言葉を使っている人も多いと思います。

発達障害とは、生まれつき、脳機能の発達に偏りがある状態のことを言います。

 

しかし、いきなりですが、最近の精神医学・臨床心理の世界では発達障害という言葉は使わないようになっています

これには色々な訳があるのですが、それも交えて発達障害について解説していきたいと思います。

 

さて、「発達障害」は現行の精神医学では「神経発達症」という呼び方で統一していこうとなっています。

現状は発達障害という言葉が、世間に浸透しすぎてしまっているので、まだ発達障害という呼び名が主流ですが、今後は神経発達症という言い方がスタンダードになるかもしれません。

(今回は発達障害という言葉で解説をしていきます。)

 

なぜ、発達障害という呼び名が変わったのかというと、精神医学の業界では、診断基準が定期的に見直されて、改定されていくからです。

精神疾患や心の病気、脳の障害は目に見えません。従って非常に抽象的なものです。骨折や切り傷など、見ればわかるケガではないですし、インフルエンザや胃腸炎など、具体的なウィルス感染のような物でもありません。

社会や文化の変化によって、精神疾患の定義や在りようは変化していくのです。

 

特に、現代社会は情報爆発と言われるほど、情報にあふれており、一昔前とは生活のスタイルが大きく変わりました。習慣も変わり、人々の生活や仕事の内容も大きく変わりました。

それに従って、当然のようにストレスの内容・質・量も変化していきます

特に、第3次産業が主流の現代は、一昔前に比べて、対人ストレスが比べ物にならないくらい増大しました。

ちなみに、第3次産業とは会社勤めのサラリーマンや接客業などのサービス業のことを指します。サービス業は当然ながら人と人の関わりの中で発生する対価を報酬として受け取るスタイルなので、人との関わりが苦手な人にとっては、かなりのストレスになります。

 

100年くらい前までは、農林水産業第1次産業)や製造・工業(第2次産業)が職業の主流であり、これらは直接的な対人での仕事ではなかったので、現代よりも対人ストレスは少なかったのではないかと言われています。

 

つまり、社会の変化に合わせて、人間の取り巻く環境も変わり、ストレスや精神に及ぼす要因も変わってくるので、それに合わせた定義を、定期的に見直して改定していくことが求められているわけです。

その診断基準をリードしているのが、「アメリカ精神医学会」が発行している

DSMDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」です。

※呪文みたいなので、覚えなくてOKです(笑)

 

このDSMに沿って、精神科医の先生は診断を考える訳ですが、アメリカで作られたものなので、当然和訳されてから使われます。

この翻訳される際に、今までのニュアンスを残しつつ、新しく定義しなおした名称ということで、色々あるのですが・・・。

発達障害も「神経発達症」という名前にしましょうと、最近の改定でなったのです。

 

そもそも、皆さんは「病」「症」の違いは分かりますか?

「心臓病・生活習慣病うつ病」「性感染症・メタボリック症候群」など、聞いたことのある名前も、私も正直深く考えたことはありませんでした。

 

・・・結論から申し上げると、大きな区別はないのですが、微妙なニュアンスの違いがあります。

「病」は「疾病・疾患」の意味があり病気そのもののことを指します。

「症」は「症状・症候」という意味があり、状態のことを指します。

 

つまり、神経発達”症”と名付けたのは、決して病気なのではなく、その人たちの、脳の状態・脳の特徴であるということを伝えたかったのではないかと私は考えています。

 

 

だいぶ話が大きくなってしまいましたが、改めて発達障害について話を戻します。

そもそも発達障害という言葉は総称であり、厳密には以下の障害をまとめて言い表したものになります。

  1. 自閉症スペクトラム障害ASD
  2. 注意欠如・多動性障害(ADHD
  3. 学習障害(LD)

 

しかし、これら3つは併存している場合が多く、シンプルに自閉症スペクトラム障害だけという人は少ないと言われています。ADHD自閉症

スペクトラム障害を掛け合わせているなんて聞いたこともあるのではないでしょうか。

 

 

それぞれの特徴としては・・・

1.自閉症スペクトラム障害ASD

・強いこだわりや自分のルーティーンがあり、それに沿った行動や処理は得意。しかし、急な変更や場面転換などの環境の変化に弱く、予定が急に変わるなどすると混乱してしまう。感覚が過敏なことも多い。

・相手の立場になって思考することが苦手で、自分のペースで話したり、行動してしまうことが多く(場の空気が読めなかったり、相手を遮って自分の行動や言動を通すなど)、周囲からは変わっている・自分勝手な人と思われてしまうことが多い。

・上記の特徴があり、知的水準が低い場合は「自閉症」、知的水準が普通以上の場合は「アスペルガー障害」と言われていました。しかし、その差は明確なものではなく、特徴も画一的ではなく連続体(スペクトラム)のようにつながり合っているということで、自閉症スペクトラム障害という名前になりました。

 

2.注意欠如・多動性障害(ADHD

・注目をし続けることが苦手で、注意・集中をすることが苦手。指示を最後まで聞くことも難しいので、抜けてしまうことが多く、自分でも何に注意を向ければいいかわからないことがある。

・常に体を動かしていないとソワソワしてしまい、落ち着かずに動いてしまう。その衝動を抑えておくことが苦手で、興味のあるものなどにすぐ飛びついてしまうなどの突飛な行動がある。

 

3.学習障害(LD)

・全般的な知的活動に問題はないが、ある特定の知的活動のみが限定的に大きく躓いて、生活に支障をきたしている状態。

(例)文字が読めない→識字障害

   文字が書けない→書字障害

   計算ができない→計算障害   など

 

以上の3つが発達障害であり、その特徴でした。

 

これらの特徴があると、なかなか対人関係やコミュニケーションを必要とする場面で困難さがあり、どうしても自分中心になってしまったり、ついていけなくなってしまって、ストレスを抱えてしまいがちになります。

しかし、先ほど述べたように、現代社会はコミュニケーションを必要とする第3次産業が仕事の中心なので、「発達障害の方がとても生きづらい世の中になった」または「こうした社会に適合できない人は発達障害なのではないか」という風潮が高まっています。

 

ですが、発達障害は決してネガティブなことばかりではありません。

確かに、生きづらい世の中にあることは間違いないかもしれませんが・・・。

発達障害は「脳機能の発達の偏り」と最初に言いました。

つまり、偏っているので、他の人よりも秀でているところが必ずあるんです。

 

・自分の世界に入りがちかもしれないけど、高い集中力を維持できたり、ものすごい記憶力を有していること。

・他の人が気が付かないようなところにも視点を併せられること。

・スポーツや芸術面で、高いエネルギーや表現を発揮し、高い評価を得られること。

 

これら以外にももっと強みはあるはずです。

大切なのは、その特徴を自分で理解し、周囲も理解して、どうすれば偏らずに発揮できるのか・・・。その環境調整です。

 

環境が整った発達障害の人は、ものすごいパワーを持っています。

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それでは今回はここまで!

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