【7時間目の授業は心理です】

思春期~青年期の方をターゲットに心理学をお話ししていきます。

【#19発達について】愛着は心の基礎である(基本的信頼感)

心の中で・・・「起立、礼、着席」

 

みなさん、お疲れ様です!心理カウンセラーのルンタです。

それでは今日も短時間で解説をはじめますよ~

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さて今回は、発達の根幹ともいえる「愛着」について話をしていきたいと思います。

かなり深い内容になるかもしれませんが、よろしくお願いします。

 

#16で乳幼児期の、激動の脳の変化をお話してきました。

 

luntacop.hatenablog.com

その際にも話しましたが、この時期の脳の発達に、保護者の存在は必要不可欠なのです。

なぜなら人間は、生理的早産なのと地球上の生物で最も脳が発達する動物だからです。

 

赤ちゃんの脳はまっさらな状態で生まれてきますが、裏を返せば、無限の伸びしろがあるということで、生まれてからの環境で大きく変化し、影響を受けるということです。

当然、環境が整っていれば、脳の成長・発達は促進され、すくすくと育つでしょう。

これに必要なのが「愛着」だと思ってください。

 

愛着は厳密に言うと、「特定の養育者から受ける無条件の肯定・愛情を受け、心的イメージとして安全基地になりうる関係性のこと」となります。

・・・小難しいので、解説すると↓

「親や家族などの養育者たちから、沢山可愛がられたり、愛されて世話をされると、心が安心して育つことができる。安心して育つと、心に安全基地というイメージが出来て、養育者から離れても生きていけるようになる」ということです。

 

人間が生まれて、一人の立派な人間として自立するまでに欠かせない概念であるということがわかればOKです。

 

赤ちゃんは無力で生まれるので、泣くことしかできません。泣くことは、本能的に母性を刺激し、周囲の大人を引き寄せ、自分を守るようにコントロールする働きがあるとされています。

何もできないので、失敗ばかりです。当たり前ですが(笑)

それでも赤ちゃんは愛されて、あやされて、世話をされて、いっぱい話しかけられて、笑顔を覚えていき、「安心する」という感覚を身につけていきます。

これが、タイトルにも書いた心の基礎です。

 

無力な状態=不安です。赤ちゃんはこの世に生れ落ちてから、不安でたまりません。

それを周囲の養育者が導いてくれ、「この世界は安全な所だよ。あなたは守られているんだよ」という感覚を教えていく事こそ、乳児期の最も大切な関わりであり、愛着の基礎となります。

 

皆さんも、ものすごく不安な時はありませんでしたか?

例えば、クラス替えのある新学期。仲の良い友達を別れたらどうしようと思いますよね。その時は不安で心臓はドキドキします。

いざ、掲示を見ると「あ!一緒だった!」と安堵することでしょう。

もし違ったら、「えー・・・。なんだか新しいクラス知らない人ばかりで行きたくないなぁ」と思うでしょう。

 

そんな感じで、赤ちゃんも同じです。養育者という安心できる存在がいるからこそ、泣かずに自分の行動範囲を広げていけるんです。自信を持って行動できるようになるんです。

 

はじめはお母さんが見えなくなると「ウワーン!」と大きく泣いて、寂しがり不安を爆発させて、母親を呼ぼうとするでしょう。

しかし、日々の密着した関わりの中で、段々と「お母さんは当たり前にずっといてくれるんだ。泣いたらちゃんと反応してくれるんだ」という感覚が芽吹いてきます。

そうすると、ハイハイをして色々な所に行ってみたり、つかまり立ちをして歩けるようになれば、なおさら活動範囲が広がってくるでしょう。

つまり、実際に養育者が視界に入っていなくても、心の中に養育者のイメージがしみ込んで、「いつでも見守ってくれている」という感覚が出来ると、人間は一気に活動範囲が広がり、発達が進んでいきます。

この、心の中にある安心できる養育者のイメージのことを「安全基地」と心理学では呼んでいます。

 

赤ちゃんはとにかく、色々なことに興味深々です。自分の動きや声で、周りがどう変化するのかを常に確かめたいと思っています。

時にはわざとコップのミルクをこぼしたり、ティッシュの箱を空になるまで取り出すでしょう。

しかし、これは大切な実験です。

★「自分が起こした行動」→「相手の反応」という簡単な式を実際に成り立たせようとする実験なのです。

 

★「ミルクをこぼしてしまった」→「でも、『もう、しかたないわね』と言ってお母さんは片付けてくれた」=自分が失敗しても大人が元に戻してくれるんだ

という等式になり、それが溜まっていくと、「基本的信頼感」という感覚が芽生えてきます。

この基本的信頼感は、とてつもなく大事な概念です。愛着を形成していく上でも基本的親愛感は無くてはならないですし、基本的信頼感が低いと、様々な心理的問題に絡んでくると言われています。

また、安全基地はこの基本的信頼感が土台となってできているので、心の基礎である安全基地のさらに土台となるのが、基本的信頼感と言えるでしょう。

 

同時に赤ちゃんは、「万能感・全能感」を持っているとも言われています。

なぜなら、泣けば大人は駆け寄ってくれるし、こちらの要求を聞いてくれる。

自分が何かをすれば、周囲の環境に働きかけて、変化を生み出せるのだという感覚が芽生えます。これを幼児的万能感といい、自己肯定感や安心感につながっていきます。

逆に無視されてしまうと、「あ、僕が何かしても大人は反応してくれないのか」と学習性無力感に陥り、諦めやすく、人を信頼できない性格になってしまいがちです。

 

しかし、何歳になってもわがままが通用するわけではないですよね。

ある程度言葉が理解できるくらいになると(2~3才)、しつけやトイレットトレーニングが始まります。

ここでようやく、失敗を直面化させられたり、怒られるという経験を子どもはしていきます。

この時に、ある程度万能感や自己肯定感がないと、ひねくれてしまい、自信を喪失してしまうことがあります。次の発達に上手く移行できない可能性があるのです。

 

なので、小さいうちのとにかく可愛がられるという感覚があればあるほど、しつけが始まった時も心の安心感というエネルギーを使って、負けずに乗り越えていけるのです。

愛情は愛着をつくり、その愛着がエネルギーとなって、一歩一歩大きくなっていく・・・。

これが人間の乳幼児期の発達のスタイルなのです。

 

安全基地が心の中に出来ないと、いつまでも不安が高く、なかなか挑戦できない性格傾向になってしまいますし、基本的信頼感がないと、なかなか人を信用できないので、集団に入っていく事が苦手になってしまいます。

現代の非社会的行動(引きこもり・不登校など)が増加している理由は、乳幼児期の愛着不足が起因しているのではないかという研究もあるくらいです。

※昭和の時代は暴力やシンナーなどの反社会的行動が多かったですが、時代の変化を感じますね・・・。

 

 

だいぶ長くなってしまいましたが、今回の話をまとめると・・・。

  1. 生まれたての赤ちゃんは不安だらけだが、泣くことで周囲に働きかけ、その時の反応や世話をされた感覚が、万能感と安心感の基礎になる
  2. 安心感が溜まってくると心の中にも養育者のイメージが出来るので、実際に見えなかったり、その場にいなくても平気になっていく(安全基地
  3. 失敗しても修復して、できたら褒めてくれるなどの温かな関わりがあれば、次第に基本的信頼感が芽生えてくる

こんな感じでしょうか。

これらは、全て、今後の人生におけるベースになっていきます。

 

逆に言えば、この時期に愛情を受けられないまま過ぎてしまうと、愛着が上手く形成されない状態になってしまうので、その上に成り立つ万能感・安心感・安全基地・基本的信頼感が築かれにくくなってしまったり、歪んで築かれてしまいます。

この歪んだ愛着形成の状態・愛情が足りずに育ち基本的信頼感が低い状態のことを「愛着障害」と呼んだりもしています。

厳密にはもっとしっかりした定義があるのですが、今回はそういうワードがあるのだと思って頂ければOKです。

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それでは今回はここまで!

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