【7時間目の授業は心理です】

思春期~青年期の方をターゲットに心理学をお話ししていきます。

【#27発達について】教師期待効果をご存じですか?

心の中で・・・「起立、礼、着席」

 

みなさん、お疲れ様です!心理カウンセラーのルンタです。

それでは今日も短時間で解説をはじめますよ~

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さて、今回は”教師期待効果”についてお話していきます。

聞いたことがある人とそうでない人で分かれるかもしれませんね。

 

教師期待効果は「ピグマリオン効果」とも呼ばれ、アメリカの教育心理学ロバート・ローゼンタールが1964年に研究・発表した概念です。

これは、「他者(教師)の期待によって、その者(学習者)の成績が向上すること」とされています。

 

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例え話をしましょう・・・。

3年E組のヤ◯クミ先生は、新しく受験生の中学3年生のクラスを持つことになりましたが、そのクラスの男子達は荒れまくっており、今までの学校生活で手を焼かせまくる問題児ばかりでした。

ヤ○クミ先生は、その問題児たちを一気に引き受けてクラス運営をしていく事になりましたが、その際に3年B組の銅八先生から、「ヤ○クミ先生なら、きっと大丈夫です。みんな一人一人を大切に見てあげれば、きっと卒業式の日には泣きながら笑えるホームルームを送れるはずです」と期待されて、背中を押されました。

 

ヤ○クミ先生は、その言葉を大切にし、クラスの子ども達にも同じように接しようと心に決めました。もちろん、問題児ばかりなので手を焼きます。授業中、話は聞かないし、学校がない時も万引きや飲酒・深夜徘徊などで問題を起こします。

比較的温厚な女子たちとは全く異なった雰囲気で、最初の定期テストでは、男子と女子で平均点が5教科で100点以上差が離れているような状態でした。

 

それでもヤ○クミ先生はあきらめませんでした。毎日少しずつでも男子達の褒められるところを見つけて、すかさず褒めていき、煙たがられてウザがられても、「期待しているよ」というまなざしを向け続けました。

修学旅行先でも喧嘩沙汰になるし、夏休み中もパトロールに駆り出されるくらいでした。

 

しかし、2学期から少しずつ子ども達に変化が表れてきました。夏休みの宿題は当然終わらせてきませんが、何人かの男子は勉強がわかるようになってきたと話すようになりました。

わかるようになると楽しいでしょ?」と声をかけると、次第にその男子から他児に波及していったのか、男子達の勉強のモチベーションが次々上がり、定期テストの平均点の男女比は50点差まで縮まりました。

そのことも嬉しくなった男子達は、次第に荒れた行動をしなくなり、ヤ○クミ先生以外の職員からも認められるような声掛けを受けるようになりました。

 

そして3学期・・・。受験シーズンの真ん中で、ついに男子と女子の得点差はなくなり、ほとんどの生徒が志望校に合格することができました。

卒業式で、きれいな袴の衣装を着たヤ○クミ先生は涙が止まらず。式が終わった後、胴上げされ、みんなで河川敷を走りました

 

その様子を遠くから見ていた銅八先生は「やっぱりヤ○クミ先生は、私が期待した通りの素晴らしい教員になりましたね」と微笑みながらつぶやきましたとさ。

おしまい

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・・・はい、突然の茶番劇を失礼しました(登場人物で私の年齢がばれそうです笑)。

いかがでしたか?この中に沢山の教師期待効果が張り巡らされていました。

 

教師期待効果は、他者から期待を受けることで、「自分は期待されているんだ」という一種の自己暗示(ポジティブな感覚)がかかります。

この自己暗示はものすごい効果を生み、ローゼンタールの研究でも、期待された群と期待を受けなかった群とで学習の習熟度を比較すると、明らかな有意差が期待された群に表れたといいます。

 

子どもはまだ素直な所が多いので、この自己暗示にかかりやすく、教師期待効果の影響も大きくかかるとされています。

 

期待をかけるというのは抽象的な表現ですが、具体的に言うと

  1. いつも気にかけているという注目を与える
  2. 些細な変化を拾い上げ、短い言葉でも共有できる
  3. 褒めることまでしなくても、認めるだけでもよい

これらの対応が、ここでいう期待をかけることになります。

 

もちろん、大人にも有効です。

銅八先生がヤ○クミ先生にかけてましたもんね(笑)。

 

人間は基本的に褒められることが大好きです。なぜなら、「私の存在を認めてくれるんだ」という感覚がオキシトシンの分泌を促し、心の幸福感と安心感を生みます。

オキシトシンは以前にも少し解説しましたね。

luntacop.hatenablog.com

そうすることで、心にゆとりが生まれ、生活に対するモチベーションと自己肯定感が上がっていくとされています。

 

脳の構造的に、人間は基本的に「褒めて育つ」ということがわかりますね。

 

ちなみに、今回紹介した教師期待効果の真逆の概念のことを「ゴーレム効果」と言います。

これは本当に逆で、教育者が学習者に全く期待せず、むしろ小言ばかりを言って、自己肯定感を下げてしまうような関わりをすると、ものの見事にテストの得点が下がるという研究結果があります。

 

もちろん、このゴーレム効果も大人にかかります。

いませんか?あなたの職場に愚痴ばかり言う先輩や、他人に無関心な上司。

こういう人たちはゴーレム効果のことを理解しておらず、気がついたら人がどんどんやめていくような環境を作っているのに、自覚がありません。

一回、銅八先生に「このバカチンが!」怒られた方が良いかもしれませんね(笑)

 

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それでは今回はここまで!

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心の中で・・・「起立、礼、着席」